防災無線について
日本は、これまで地震・台風・豪雨・津波など多くの災害に見舞われてきました。平成23年3月の東日本大震災をはじめ、阪神・淡路大震災(H7.1)、新潟県中越沖地震(H19.7)、能登半島地震(H19.3)、新潟県中越地震(H16.10)、熊本地震(H28.4)など多くの自然災害が発生しています。一方、これから発生する災害として、東南海・南海地震、東海大地震及び、首都直下型地震の発生も懸念されます。
災害が発生した場合、災害の規模、災害現場の位置や状況を把握し、いち早く正確な災害情報を地域住民などに伝達する必要があります。
導入事例:三重県 尾鷲市
緊急災害時の専用通信網にアイコム無線IP電話システムを採用
東南海大地震に備えた防災対策が急務
伊勢湾から連なり、紀州半島に至る一帯は、東南海地震の想定域で、その中の三重県尾鷲市も政府の地震対策推進地域に指定されています。地震や津波などの災害時には、一般の公衆回線がパンクする可能性があり、通信を確保する手段として、アイコムの無線IP電話システムを導入されました。
尾鷲市防災危機管理室室長大川誉史様は「愛知県・三重県・和歌山県にまたがって、海側に南海トラフがあり、そこを震源として東南海地震が起きる可能性があります。尾鷲市は、三方を山に囲まれていまして、尾鷲湾へ流入する津波の被害は過去にも大きいものがありました。東南海地震がもし起きたとしたら、地震はもちろんのこと、津波の被害に関してもすばやく対応する必要があるんです」と、尾鷲特有の課題についてお話くださいました。
ハードではなく”命を守る”ためのソフト対策こそが重要
災害時における人命確保のための有効な施策についておうかがいすると、「我々は小さい市ですし、予算を考えても災害対策工事などのハードでの対応には限界があります。そうではな くて、ソフト対策、いわばノウハウや情報の共有を中心に対策を考えているんです。 具体的に言えば津波が来たらすぐに市民を安全な場所に誘導する。そのための教育や組織作りに注力しているんです」と、災害に対する基本アプローチを語られました。 「市内には、地震が起きた時に避難するためのルートを書いた地図が掲示されています。また、震度4以上の地震が起きた時には素早く市民に伝達できるよう、スピーカーを70カ所に設置しています。
しかし、それよりも重要なのは、逃げるのが遅れたら生死を分けるほど危険なのだと認識していただくことなんですね。ですから、普段から市民による自主防災組織を作って、防災訓練や講習会などを、ていねいに行っているのです」と、具体的な非難対策を解説くださったのは、同市防災危機管理室室長補佐兼防災係長の川口明則様。つねに市の対策と、市民の意識が連動できるように考えておられます。
耐震能力の高い防災センターを情報基地にして市役所本館と確実に連携
では、無線IP電話は、そういうソフト対策において、どういった役割を担っているのでしょうか。「防災対策は、このように市民と市の防災担当者が密接につながっていて初めて成立するわけです。ですから連絡手段は非常に重要なんですね。災害地域には、災害弱者と言われる高齢者や体の不自由な人もおられます。その方々の安全な避難および安全確保の確認には、防災センターのものだけでなく、市役所の全スタッフはもちろん、さらには市民をもつなぐことができる連絡手段が必要なのです」と、川口様に緊急時の情報網のあり方を解説していただきました。また大川様は、「近年、耐震性の高い防災センターを市庁舎の別棟として建てたのですが、それで防災センターと市役所の各課との連絡に不備が出ては困ります。それで緊急時専用の通信網として無線IP電話を導入したのです」と、無線IP電話が導入された経緯を話されました。予算を効果的に活かして、実用上役立つ災害対策を実施するための選択肢として、無線IP電話を選ばれたようです。
災害発生時の専用通信網を独自に複数確保
「小さな市ですから、効率的な運営は本当に大切なんです。 もし大きな災害になったら市役所と市の関係施設すべての職員が密接に連携しなければ的確な対応も難しいでしょう。 そのときにスタッフ間の連絡手段が寸断されるようなことがあってはならないのですね。 一般の固定電話や携帯電話は市民間の連絡にご活用いただいて、 我々は防災無線やトランシーバーなど専用の通信網を独自に複数確保しておかなければ、 市民の方への的確な情報提供もできないのです。 その緊急時の主要な連絡手段として適切だったのが無線IP電話でした。」と言われました。 実際、各課を見学に回らせていただいても「無線IP電話」ではなく「災害緊急時用電話」 という呼称で徹底されているのがとても印象的でした。
Webカメラで津波を監視
市の施設を無線でつなぐネットワークにおいて、無線IP電話以外 の活用方法として大川様は、「通常業務の通信インフラということでは使ってませんが、津波の監視用にWEBカメラを導入しています。」 と話されました。目視で津波を確認できるシステムを導入するという安全性優先の発想であるようです。カメラは、市の高台にある天文 台に備え付けられ、遠い海の様子を監視しています。 緊急対策としての通話環境と、監視カメラの設置。その二つを兼用させ、柔軟なソフト対応で防災システムとする尾鷲市の対策は、まさに無線LANの効率的活用といえます。
三重県 尾鷲市に採用されたアイコム無線LAN製品一覧
- ・無線IP携帯・・・23台
- ・無線IP電話ルータ・・・2台
- ・無線LANアクセスポイント・・・14台
- ・ビル間通信ユニット(アンテナ外付けタイプ)・・・6台
- ・ビル間通信ユニット(アンテナ内蔵タイプ)・・・4台
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